なぜ資本金3,000万円に?経営管理ビザ厳格化の背景と政府の数字
資本金要件が500万円から3,000万円へと約6倍に引き上げられた背景には、在留者数の急増と制度の不適正利用がありました。公表されている数字とともに整理します。
在留者数が5年で約5割増
経営・管理の在留資格で日本に滞在する外国人は、2024年(令和6年)でおよそ4万1千人に達し、5年前と比べて約5割増加しました。急増の一方で、実態の伴わない取得が問題視されるようになりました。
ペーパーカンパニー・形骸化の問題
従来は資本金500万円を形式的に満たせば、実態の乏しい会社でも申請が通るケースが見られました。売上ゼロのまま更新を繰り返す、住所だけを登記してオフィスの実体がない、といった申請が指摘され、こうした実態は国会でも「手軽に定住するための抜け穴になっている」と問題視され、要件の厳格化につながりました。
諸外国と比べて緩かった日本の基準
入管庁によると、同種のビザに必要な資金は、韓国で約3億ウォン(約3,200万円)、米国で10万〜20万ドル(約1,500万〜3,000万円)程度とされ、日本の従来基準(500万円)は諸外国に比べて低い水準でした。今回の3,000万円は、国際水準に近づける狙いもあります。
改正のねらい
一連の改正は、形式要件の充足ではなく「実態のある事業経営」を求める方向への転換です。資本金(出資総額)3,000万円だけでなく、常勤職員1名以上の雇用・日本語N2/CEFR B2相当・経営経験3年以上または関連分野の修士号等・事業計画書の専門家確認を組み合わせることで、事業の継続性と実効性を担保する狙いがあります。改正全体の要点は2025年10月改正のまとめで、旧500万円基準との違いは500万円と3,000万円の比較で詳しく解説しています。
在留資格の厳格化は、これから取得する方だけでなく、既存の経営者にとっても更新時の対応が必要となる重要な変化です。既存の経営者には2028年10月16日までの3年間の経過措置が設けられています。
厳格化のインパクト:新規申請が約96%減
出入国在留管理庁の調査によると、改正後は新規申請が大きく減少しました。改正前は月平均約1,700件あった新規申請が、新基準適用後は月平均約70件まで落ち込み、約96%の減少となりました。資本金3,000万円や常勤雇用などのハードルが、実体の乏しい申請を大きく抑制した形です。
この数字は、厳格化が「実体のある事業経営」を求める方向に強く作用していることを示しています。これから申請する方にとっては、要件を正面から満たし、計画と実体を丁寧に示すことがこれまで以上に重要になっています。
よくある質問
経営管理ビザの資本金はなぜ3,000万円に引き上げられたのですか?
形だけ500万円を満たした実態の乏しい会社でも申請が通ってしまう「ペーパーカンパニー問題」や、経営・管理の在留者が2024年末で約4.1万人へ急増したこと、韓国(約3,200万円)や米国などと比べ日本の基準が低かったことが背景です。実態のある事業経営を求める方向への転換として、2025年10月16日施行の改正で出資総額3,000万円以上へ引き上げられました。
資本金の引き上げはいつから適用されますか?既存の経営者はどうなりますか?
新基準は2025年10月16日施行です。すでに経営管理ビザを持つ方には、2028年10月16日まで3年間の経過措置が設けられており、その間は従来基準を踏まえた更新が可能です。経過措置の終了後は新基準への適合が求められるため、早めの準備が安心です。
3,000万円になったのは資本金だけが理由ですか?
いいえ。改正は資本金(出資総額)3,000万円以上に加え、常勤職員1名以上、日本語N2/CEFR B2相当、経営経験3年以上または関連分野の修士号等、事業計画書の専門家確認などを組み合わせた総合的な厳格化です。詳しくは2025年改正のまとめと取得要件をご覧ください。
本記事は出入国在留管理庁が公表する制度内容に基づいています。最新の運用や個別のご事情による判断は異なる場合があります。具体的な手続きは当事務所の行政書士にご相談ください。